Oculus QuestでのVR作品展示Tips

2019年11月20日

デジゲー博2019で、Oculus Questを使用して「Parallel Parasols(仮)」という傘をテーマにしたショートVR体験の展示をしました。これでQuestでの展示が3回目くらいになって安定してきたので、こんな工夫をしていましたというのをメモってみました。コンテンツ自体については特に触れません。

Questの設定

コントローラーを大きく動かすとガーディアン表示(移動範囲を制限する赤い枠線)が出てしまうことがあります。特にルームスケール体験とかではないのですが、邪魔なので消してしまいました。

Questの Settings > See All > Developer > Guardian をオフにして警告ダイアログでAcknowledgeするとガーディアンを非表示にできます。ただし、スリープして復帰すると復活してしまうので、Oculusアプリの Settings > More Settings の Power Settings で Auto-Wake-up で Auto Sleep を 15 minutes にしてスリープが基本的に起きないようにします。

QuestはUSBケーブルで給電し、かつscrcpyというソフトでノートPCにミラー表示しました。樽型表示になってしまいますが、これはこれで適度なネタバレ防止効果があっていいです。

Questを綺麗に保つ

Questのフェースパッドはスポンジ素材でできていて、汗や匂いが染みついてしまいますので、Amazonで買えるレザー素材のフェースパッドに交換しました。ウェットティッシュで拭いてから普通のティッシュ等で乾拭きすると綺麗になります。

養生テープは必須

体験者の立ち位置に養生テープで目印をつけておくと便利です。また、今回Questの左手コントローラーだけを体験に使用して、右手コントローラーはスタート・リセットのアテンド用にしたのですが、右手コントローラーに養生テープで目印をつけて区別がつきやすいようにしました。

トラッキングについて

屋内で写真のような光源下だと、5時間の展示中にQuestのトラッキングがずれることは一度もなかったです。ちょっと前に上海の Maker Carnival Shanghai というイベントに展示に行ったのですが、そちらは屋外の太陽光で死にそうな目に遭いました(別途エントリ書くかも)。

ポスター

通常のゲーム等のようにプレイ画面が見えないので、体験内容を簡潔に説明する「傘がテーマのショートVR体験です」というフレーズをポスターに入れ込みました(ポスターが曲がってるのは何とかしたかった)。

ポスターの印刷は、キンコーズのA1セルフポスター印刷を使用してみました。USBメモリーにPDFファイルを入れて持っていけば、24時間いつでも2035円でA1ポスターが印刷できます。

ポスタースタンドは PO.SU.TA. を使用していますが、他にもいろんな製品があるみたいですね。

オペレーション

VR展示をする場合、説明は短ければ短いほうがいいです。長々と操作説明をしたり、マニュアルを渡しても覚えてもらえません。まして、(コンテンツにもよりますが)体験内容を事前に詳しく説明してネタバレしてしまうなどもってのほかだと個人的には思ってます。必要最小限の説明だけをして、とにかくヘッドセットをかぶってもらうのがいいです。

(展示していると「これはどういう作品ですか?」と尋ねられることもあるのですが、「とりあえずかぶってみませんか」と返したりしてます)

傘VRでは以下のような手順に落ちつきました。

  • (床の目印を指しながら)「どうぞこちらに立ってください」
  • 「少々お待ちください」と言ってヘッドセットを拭く
  • 「それではヘッドセットをかぶせます」と言ってヘッドセットをかぶせる。「きちんと見えてますでしょうか?」
  • (コントローラーを渡しながら)「それでは傘を持ってください。トリガー等は特に使用しません」
  • 「これは1分30秒くらいの雰囲気を楽しむ作品です。それではスタートします」
  • アテンド用コントローラーでトリガーを引いてスタート
  • 体験中はできるだけ声をかけない(没入を妨げるため)
  • 「ありがとうございました」

以下のようなことを考えています。

ヘッドセットは毎回必ず拭くようにします。これだけは絶対に省略してはいけない手順で、また、拭いているところを見せるようにします。衛生的な状態でヘッドセットをかぶれることが分かるようにして、安心してもらうためです。フェースパッド、レンズに加えてバンドの裏側も拭くのを忘れないようにします。

ヘッドセットをかぶせるときは、まず体験者の頭の大きさを見て目算でバンドを調整します。メガネの有無や髪型等によって前後どちらからかぶせるか考えます。

「それでは傘を持ってください」のセリフですが、「コントローラーを持ってください」ではなく、VR空間で見えているものを持ってもらう文言にしています。もしコントローラーがキャラクターの手になっている体験であれば、「それでは手をお渡しします」等。このあたりはちょっとしたユーモアです(「手が来たー!」みたいに楽しんでもらえる)。

現行のVRヘッドセットをかぶるのは基本的に苦行なので、「1分30秒くらい」と体験時間を知らせ、これくらいの時間我慢する必要がありますよ、と教えています。「雰囲気を楽しむ作品です」で、スコアやゲームオーバー等、頑張ってプレイしなければならない要素が特にないことを知らせています。あとは体験すれば分かるはず、くらいの気持ちです。

コンテンツは体験終了後、数十秒で自動的にリセットがかかるようにしてあります。ヘッドセットの着脱をしている間にリセットされるのでだいぶ楽になります。

お客さんが来ないとき

お客さんが来ないときの振る舞い方、難しいですよね……。とりあえず自分はヘッドセットを片手にさりげなく持って、いつでもかぶれますよという風情でゆるく立つようにしています。こちらを全然見ていない様子でも、声をかけると、待ってましたと体験してもらえることが結構多いです。自分がお客さんとしてイベントに参加するときもですが、ちらちらと様子を伺ったり、遠巻きにどうしようか迷ったりしますよね……展示者としては、遠慮しなくていいんですよ! と思いつつ、自分も遠慮しまくっているというw

コンテンツによって大きく変わってくると思いますが、傘VRはこんな感じで展示してました。何かの参考になりましたら!

ちょっと内容が古いですが、VR開発メモのほうに「展示ノウハウ」というページもありますので、こちらもご参照ください。

(書いた人: こりん

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