HTC Vive/Oculus Rift用PCの選びかた

最終更新日:2018年11月18日

HTC ViveやOculus Riftでの開発に必要なPCの選びかたについてまとめています。

更新履歴

(2018年11月18日)全体的に記述をアップデート
(2016年12月18日)「ノートPCはどうなんですか?」にゲーミングノートの駆動時間について注記、「Macじゃダメなんですか?」に関連記事を追加 
(2016年10月28日)ノートPC関連の記述を更新
(2016年8月20日)GeForce GTX 1000番台のゲーミングノート発表を反映
(2016年7月8日)最新世代のGeForce GTX 10x0とHTC Viveの店頭販売開始を反映


はじめに

まず結論から言えば、HTC ViveやOculus Riftを使用するには、高性能なGPUを搭載したWindows PCが必要です。ビデオカードを搭載するため、基本的にはデスクトップPCになりますが、ノートPCも一部対応機種が発売されはじめています。

また、HTC Viveでは「空きHDMI端子とUSB 2.0/3.0端子×1」、Oculus Riftでは「空きHDMI端子とUSB 3.0端子×3、USB 2.0端子×1が必要です。

市販のPCを購入する場合、GeForceやRadeonを搭載したゲーム用PCを選びます。NVIDIAのGPUであれば、GeForce GTXの1000番台もしくは2000番台が必要です。普通の家電量販店などにはまず置いてありませんので、通販や、PCショップ・ゲーミングPC専門店で購入することになります(「ゲーミングPC」で検索してみてください)。最近はGeForceの「VR Ready」のロゴが入っていたり、VR対応をアピールしていることもありますので、ショップに確認するのがおすすめです。もちろん、PCを自作できるなら自分で組み立てても大丈夫です。

Windowsのバージョンは、Windows 10の64bit版にします。

展示やデモに用いる場合、上記に加えて運搬しやすい省サイズのものを検討することになります。

その他、必須要件ではありませんが、開発用途であればCPUもCore i7などできるだけ高速なものが望ましいです。メモリも16GB以上あったほうがいいです。ストレージもSSDにすると快適ですが、その場合、Cドライブに最低でも240GBか480GB以上確保するようにします。

以下、詳しく説明します。

ヘッドセットはどんなふうに接続するの?

HTC Vive、Oculus RiftともにサポートソフトウェアをPCにインストールします。ヘッドセットにはHDMI端子で接続しますが、Windowsには通常のディスプレイとしては認識されず、ビデオカードのドライバ経由で映像がダイレクトに出力されます。

また、ヘッドセット内蔵のセンサーやマイク・ヘッドホン、位置トラッキングカメラ等とやり取りをするためにUSB接続が必要になります。

なぜ高性能なGPUが必要なの?

HTC ViveやOculus Riftでは、左右両眼の2画面の画像を90fpsの高フレームレートで描画する必要があります。通常の3Dゲームも高性能なGPUがないと動きませんが、VRではさらに何倍ものグラフィックス性能が必要になります。

重要なことなのですが、VRでは基本的に最大フレームレートを常時キープする必要があります。家庭用ゲーム機のゲームでよく、60fpsで動きをなめらかにするか、30fpsでグラフィックスを綺麗にするかという論争がありますが、VRではフレームレートが低いと頭の動きと視界の不一致で酔います。また、没入感も大きく損なわれます。60fpsでは足りないということで、より高いリフレッシュレートのディスプレイパネルが使用されています。通常の3Dゲームのように、低フレームレートでも動けばいいというわけにはいかず、高いグラフィックス性能が必須となっています。

ノートPCはどうなんですか?

GeForceを搭載したVR対応のゲーミングノートが増えてきました。NVIDIAの「VR Ready」の表示があるか、VRをサポートしているかショップに確認するのがいいでしょう。

なお、VR Ready性能のゲーミングノートは電力食いで、バッテリー容量にもよりますが、通常使用で4時間程度、VRソフト使用時で1時間程度の駆動時間しかありません。一般的なノートPCのような長時間運用はできませんので注意してください(2018-11追記:その後状況が変わっているかもしれません)。電源接続しないとGeForceが有効にならない機種などもあり、モバイル用途に制限が発生しますので要確認です。

どれくらい高性能なGPUが必要なの?

GeForceの2000番台、もしくはGeForce GTX 1060/1070/1080が必要ラインになります。

3DMarkによるGPUのベンチマーク値一覧と、参考機種です。あくまでおおまかな目安として考えてください(2018-11表が古いので更新します)。

GPU 3DMark 参考機種・備考
GeForce GTX 980 Ti 24620
GeForce GTX 1080 24390
GeForce GTX 1070
GeForce GTX 980 18510 NEXTGEAR-NOTE i71000
GeForce GTX 1060
GeForce GTX 970 15710 (VR Readyスペック)
Radeon R9 290 15260 (VR Readyスペック)
GeForce GTX 980M 12630 GALLERIA QSF980HGSNEXTGEAR-NOTE i5910
GeForce GTX 970M 10220 NEXTGEAR-NOTE i5710
GeForce GTX 950 9100
GeForce GTX 750 Ti 5690 (デスクトップPC用ミドルレンジ)
Radeon HD 7770 4110
GeForce GT 750M 2590 15” MacBook Pro Retina (Mid 2014、Late 2013)
Intel Iris Pro 6200 2240
GeForce GT 650M 2170 15” MacBook Pro Retina (Early 2013)
Intel HD Graphics 6000 1333 MacBook Air (Early 2015)
Intel HD Graphics 5000 1050 MacBook Air (Early 2014)、Surface Pro 3
Intel HD Graphics 4400 740 Surface Pro 2
Intel HD Graphics 4000 580

パーツの価格としては、GeForce GTX 1060搭載ビデオカードが2016年8月時点で3万5000円前後です。2スロットを専有し、補助電源接続が必要です。

Macじゃダメなんですか?

おそらくMacBookをメインに使っているウェブ系の開発者等にとってはつらい現実なのですが、Windows一択です。Steamのゲームを中心にハイエンドの3Dゲームが基本的にWindowsメインでリリースされていて、PCのVRもその流れを継いでいるためです。AppleがGPU性能を重視してこなかったこともあり、2015年5月にOculus RiftはmacOSのサポートを打ち切ってしまいました。HTC Viveは2017年6月にmacOSサポートを発表したのですが、現況よく分かりません。下記スレッドのような状況で、おそらく使用している人がほとんどいません。

また、最近はNVIDIAやAMDが積極的にVRのサポートを行っており(NVIDIA VRWorksなど)、VRヘッドセットのランタイムやゲームエンジンもこれを利用しているのですが、その辺りもWindows以外に対応する余力は今のところなさそうに見えます。

Appleからは、macOS MojaveでViveがネイティブサポートすることが発表されたのですが、対応ソフトが増えたり、すぐに開発環境が安定することに期待しないほうがいいと思います。

HoloLensやWindows MRヘッドセットの開発もWindows必須ですので、VR/XR開発はこのまましばらくWindowsがホームグラウンドになりそうです。

Oculus GoやVIVE Focusといったスタンドアローンヘッドセット(これらはAndroid機です)向けの開発ではMacでも大丈夫という場合はあります。また、AppleもARヘッドセットを開発中という話がありますので、その場合Macが必要になるでしょう。

MacでもBoot CampでWindows 10を動かせばHTC ViveやOculus Riftを接続できる可能性はあります(筆者もOculus Rift DK1/DK2時代にMacBook ProでBoot Campを使って展示していました)。

自分のPCがVR Readyかどうかチェックできる?

SteamVR Performance TestというベンチマークソフトがSteamで公開されています。これを実行すると、実際にVR Readyレベルと比べてどれくらいのグラフィックス性能があるかどうかを確認できます。USB端子などの要件はチェックされないので注意してください。

Windows 10にしたほうがいいの?

Windows 10にはGPUアクセスのオーバーヘッドが低減されるDirectX 12が搭載され、UnityやUnreal Engineも対応を進めています。グラフィックス負荷の重いVRでは大きなメリットのある重要なアップデートになっています。

また、Oculus VRのエンジニアによると、非同期タイムワープへの対応その他についてWindows 10にはさまざまな改良が施されているとのことです。

なお、Oculus RiftをWindows 10で使用する場合、64bit版でなければならないため要注意です。HTC ViveもUnityで64bitビルドしたほうがパフォーマンスが良いため、64bitビルドが推奨されています。

CPUはどうすればいいの?

HTC ViveやOculus Riftの推奨スペックはCore i5クラスとなっていますが、開発に用いる場合、速ければ速いほどいいです。特に3Dのアセットが多いと、UnityやUnreal Engineでのビルド、インポート、ライトマップのベイク、シェーダーのコンパイルなどで長大な待ち時間が発生しますので、CPUの性能が作業の効率や快適さに直結します。

ベンチマークソフトの一つ、Geekbenchのスコアを検索できるGeekbench Browserというページがあります。上のSearch ResultsにCPUの型番を入力して検索するとおおよそのシングルコア・マルチコア性能が分かりますので、参考になると思います。シングルコア性能が高いと日常的なオペレーションが、マルチコア性能が高いとベイク等が速くなります。

ストレージはどうすればいいの?

システムドライブをSSDにするとHDDより圧倒的に快適なので、特に開発用ではSSDにすべきです。ただ、今のところSSDは容量が少ないため注意が必要です。ゲームエンジン本体、プロジェクトファイル、3Dアセットのどれもかなりの容量を消費します。どれほどヘビーな作業をするかにもよりますが、Cドライブに最低240GBか480GB以上ないと、空き容量の確保に追われることになるかもしれません。

また、1TB以上のデータ用ドライブを搭載して、プロジェクトファイルその他や、Steam・Oculus Storeのゲームの保存先にするといいと思います。こちらも可能ならSSDのほうが快適です。ショップ製だとSSD+SSDの構成を選べるところがまだ少ないようですので、その場合、Cドライブに1TBというのがベストでしょうか。予算次第です。

数年後にはSSDの価格が下がり、容量も増えて、このあたりはもっと楽になっていると思います。

このサイトの中の人は何使ってるの?

自宅では、Core i7-6700K、GeForce GTX 970のMini-ITXの自作PCを開発に使用しています。そろそろ9700Kか9900Kに替えたいです。

モバイルでは、GeForce GTX 1060搭載ゲーミングノートのMSI GS63VRを体験会での展示等に使用しています。HTC Vive、Oculus Rift、Windows MRヘッドセットともに動作し、開発もそこそこ可能です。購入時点でモバイル向けとしては一番高速なCPU(Core i7-6700HQ)なのですが、やはりデスクトップ用CPUに比べ、Unityで大きなプロジェクトを開いていじっていると遅さを感じます。遊ぶのはともかく、開発にはデスクトップの強力なゲーミングPCを用意するのが絶対にいいです。

仕事ではドスパラやマウスコンピューターのBTOゲーミングPCを使用しています。

ちなみにキーボードはRealForceの静音モデルを使っています。マウスはLogicool G303です。シンプルで軽くて精度が良く、ゲームエンジンや3Dソフトで多用する中ボタンがきちんと使えるのがお気に入りです。

書いた人:こりん(@korinVR
VR開発メモトップ