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HTC Vive/Oculus Rift用PCの選びかた

最終更新日:2016年12月18日

HTC ViveやOculus Riftでの開発に必要なPCの選びかたについてまとめています。

更新履歴

(2016年12月18日)「ノートPCはどうなんですか?」にゲーミングノートの駆動時間について注記、「Macじゃダメなんですか?」に関連記事を追加 
(2016年10月28日)ノートPC関連の記述を更新
(2016年8月20日)GeForce GTX 1000番台のゲーミングノート発表を反映
(2016年7月8日)最新世代のGeForce GTX 10x0とHTC Viveの店頭販売開始を反映
(2016年6月20日)「ディスプレイはどうすればいいの?」を追加


はじめに

まず結論から言えば、HTC ViveやOculus Riftを使用するには、高性能なGPUを搭載したWindows PCが必要です。ビデオカードを搭載するため、基本的にはデスクトップPCになりますが、ノートPCも一部対応機種が発売されはじめています。

また、HTC Viveでは「空きHDMI端子とUSB 2.0/3.0端子×1」、Oculus Riftでは「空きHDMI端子とUSB 3.0端子×3、USB 2.0端子×1が必要です。

市販のPCを購入する場合、GeForceやRadeonを搭載したゲーム用PCの最新世代のものを選びます。NVIDIAのGPUであれば、GeForce GTXの1000番台が必要です。普通の家電量販店などにはまず置いてありませんので、通販や、PCショップ・ゲーミングPC専門店で購入することになります(「ゲーミングPC」で検索してみてください)。最近はGeForceの「VR Ready」のロゴが入っていたり、VR対応をアピールしていることもありますので、ショップに確認するのがおすすめです。もちろん、PCを自作できるなら自分で組み立てても大丈夫です。

Windowsのバージョンは、Windows 10の64bit版が望ましいです。

展示やデモに用いる場合、上記に加えて運搬しやすい省サイズのものを検討することになります。

その他、必須要件ではありませんが、開発用途であればCPUもCore i7などできるだけ高速なものが望ましいです。メモリも16GB以上あったほうがいいです。ストレージもSSDにすると快適ですが、その場合、Cドライブに最低でも240GBか480GB以上確保するようにします。

以下、詳しく説明します。

ヘッドセットはどんなふうに接続するの?

HTC Vive、Oculus RiftともにサポートソフトウェアをPCにインストールします。ヘッドセットにはHDMI端子で接続しますが、OSには通常のディスプレイとしては認識されず、ビデオカードのドライバ経由で映像がダイレクトに出力されます。

また、ヘッドセット内蔵のセンサーやマイク・ヘッドホン、位置トラッキングカメラ等とやり取りをするためにUSB接続が必要になります。

なぜ高性能なGPUが必要なの?

HTC ViveやOculus Riftでは、左右両眼の2画面の画像を90fpsの高フレームレートでレンダリングする必要があります。通常の3Dゲームも高性能なGPUがないと動きませんが、VRではさらに何倍ものグラフィックス性能が必要になります。

重要なことなのですが、VRでは基本的に最大フレームレートを常時キープする必要があります。家庭用ゲーム機のゲームでよく、60fpsで動きをなめらかにするか、30fpsでグラフィックスを綺麗にするかという論争がありますが、VRではフレームレートが低いと頭の動きと視界の不一致で酔います。また、没入感も大きく損なわれます。60fpsでは足りないということで、より高いリフレッシュレートのディスプレイパネルが使用されています。通常の3Dゲームのように、低フレームレートでも動けばいいというわけにはいかず、高いグラフィックス性能が必須となっています。

ノートPCはどうなんですか?

最新世代のGeForce GTX 1000番台を搭載したゲーミングノートが発売されはじめており、概ねVRに対応しているようです。

ただ、VR Ready性能のゲーミングノートは電力食いで、バッテリー容量にもよりますが、通常使用で4時間程度、VRソフト使用時で1時間程度の駆動時間しかありません。一般的なノートPCのような長時間運用はできませんので注意してください。また、電源接続しないとGeForceが有効にならない機種もあり、モバイル用途に制限が発生しますので要確認です。

なお、GeForce GTX 1000番台以外のノートPCでは、GPU性能が足りないか、そもそもヘッドセットが認識されません。特に旧世代のGeForce搭載ゲーミングノートは、省電力のためにIntel統合グラフィックスとGeForceを自動的に切り替えるOptimusという機構が搭載されている機種がほとんどなのですが、これらOptimus機にはHTC ViveもOculus Riftも基本的に繋がりません。ハードウェア上の接続経路に問題があるようです。ただし、GALLERIA QSF980HGSNEXTGEAR-NOTE i71000NEXTGEAR-NOTE i5910NEXTGEAR-NOTE i5710など、VR用にOptimus非搭載などの対策が行われている機種も一部あり、展示やモバイルVR用途でよく使用されています。

どれくらい高性能なGPUが必要なの?

現時点では、最新世代のGeForce GTX 1060/1070/1080または一世代前のGeForce GTX 970以上の性能のGPUがVR Readyとされていて、HTC ViveやOculus Riftの推奨スペックとなっています。

3DMarkによるGPUのベンチマーク値一覧と、参考機種です。あくまでおおまかな目安として考えてください。

GPU 3DMark 参考機種・備考
GeForce GTX 980 Ti 24620
GeForce GTX 1080 24390
GeForce GTX 1070
GeForce GTX 980 18510 NEXTGEAR-NOTE i71000
GeForce GTX 1060
GeForce GTX 970 15710 (VR Readyスペック)
Radeon R9 290 15260 (VR Readyスペック)
GeForce GTX 980M 12630 GALLERIA QSF980HGSNEXTGEAR-NOTE i5910
GeForce GTX 970M 10220 NEXTGEAR-NOTE i5710
GeForce GTX 950 9100
GeForce GTX 750 Ti 5690 (デスクトップPC用ミドルレンジ)
Radeon HD 7770 4110
GeForce GT 750M 2590 15” MacBook Pro Retina (Mid 2014、Late 2013)
Intel Iris Pro 6200 2240
GeForce GT 650M 2170 15” MacBook Pro Retina (Early 2013)
Intel HD Graphics 6000 1333 MacBook Air (Early 2015)
Intel HD Graphics 5000 1050 MacBook Air (Early 2014)、Surface Pro 3
Intel HD Graphics 4400 740 Surface Pro 2
Intel HD Graphics 4000 580

パーツの価格としては、GeForce GTX 1060搭載ビデオカードが2016年8月時点で3万5000円前後です。2スロットを専有し、補助電源接続が必要です。

要求スペック厳しくないですか?

厳しいです。Steamのユーザー統計によると、VR ReadyスペックのPCを持っている人は7%程度です(2016年8月現在)。

なお、ヘッドセットの要求スペックは今後も上がっていく可能性が高いです。現状、解像度、視野角、フレームレートすべてまだ不足だと考えられています。例えば、Oculus VRからは、「完璧なVRには8Kでも足りない」、「120Hzは何としても越えないといけない壁」といった発言が出てきていますし、AMDも両目8K、120Hzのヘッドセットを試作しています。HTC ViveもOculus RiftもハイエンドVRという位置づけですので、ヘッドセットとGPUの性能のいたちごっこが長期に渡って続くかもしれません。

Macじゃダメなんですか?

HTC ViveもOculus Riftも現時点ではWindowsでしか動作しません。最新のMacBook Proでは、Boot CampでWindows 10を動かせばセットアップは一応できるものの、性能不足のようです。

macOSがサポートされないのは、AppleがGPU性能を重視していないという理由が大きいようです。Mac ProやiMacに採用されているGPUは最高でもミドルレンジ相当の性能です。また、Windowsにはゲーミングノートがあるのに対して、MacBook Proは最上位機種でもローエンドのビデオカード程度のGPU性能しかありません。

また、NVIDIAやAMDも積極的にVRのサポートを行うようになってきており(NVIDIA VRWorksなど)、VRヘッドセットのランタイムやゲームエンジンもこれを利用しているのですが、その辺りもWindows以外に対応する余力は今のところなさそうに見えます。VRゲームが、SteamなどのPCの3Dゲーム文化の延長線上にあるという面もあります。当分Windowsがホームグラウンドということになりそうです。

自分のPCがVR Readyかどうかチェックできる?

SteamVR Performance TestというベンチマークソフトがSteamで公開されています。これを実行すると、実際にVR Readyレベルと比べてどれくらいのグラフィックス性能があるかどうかを確認できます。USB端子などの要件はチェックされないので注意してください。

Windows 10にしたほうがいいの?

Windows 10にはGPUアクセスのオーバーヘッドが低減されるDirectX 12が搭載され、UnityやUnreal Engineも対応を進めています。グラフィックス負荷の重いVRでは大きなメリットのある重要なアップデートになっています。

また、Oculus VRのエンジニアによると、非同期タイムワープへの対応その他についてWindows 10にはさまざまな改良が施されているとのことです。

なお、Oculus RiftをWindows 10で使用する場合、64bit版でなければならないため要注意です。HTC ViveもUnityで64bitビルドしたほうがパフォーマンスが良いため、64bitビルドが推奨されています。

CPUはどうすればいいの?

HTC ViveやOculus Riftの推奨スペックはCore i5クラスとなっていますが、開発に用いる場合、速ければ速いほどいいです。特に3Dのアセットが多いと、UnityやUnreal Engineでのビルド、インポート、ライトマップのベイク、シェーダーのコンパイルなどで長大な待ち時間が発生しますので、CPUの性能が作業の効率や快適さに直結します。

ベンチマークソフトの一つ、Geekbenchのスコアを検索できるGeekbench Browserというページがあります。上のSearch ResultsにCPUの型番を入力して検索するとおおよそのシングルコア・マルチコア性能が分かりますので、参考になると思います。シングルコア性能が高いと日常的なオペレーションが、マルチコア性能が高いとベイク等が速くなります。

ストレージはどうすればいいの?

システムドライブをSSDにするとHDDより圧倒的に快適なので、特に開発用ではSSDにすべきです。ただ、今のところSSDは容量が少ないため注意が必要です。ゲームエンジン本体、プロジェクトファイル、3Dアセットのどれもかなりの容量を消費します。どれほどヘビーな作業をするかにもよりますが、Cドライブに最低240GBか480GB以上ないと、空き容量の確保に追われることになるかもしれません。

また、1TB以上のデータ用ドライブを搭載して、プロジェクトファイルその他や、Steam・Oculus Storeのゲームの保存先にするといいと思います。こちらも可能ならSSDのほうが快適です。ショップ製だとSSD+SSDの構成を選べるところがまだ少ないようですので、その場合、Cドライブに1TBというのがベストでしょうか。予算次第です。

数年後にはSSDの価格が下がり、容量も増えて、このあたりはもっと楽になっていると思います。

ディスプレイはどうすればいいの?

Unity、Unreal EngineともにWindowsでの高DPI表示に対応していないため、表示倍率を100%から変更するとぼやけてしまいます。ですので、24インチ前後の1920x1080など、100%で使えるインチ・解像度比のディスプレイが今のところ無難です。4Kディスプレイなどは扱いが難しいです。作業領域を広げたい場合は、マルチディスプレイにしたり、個人的には30インチの2560x1600のディスプレイを(デュアルで)使用しているのですが、このあたりが快適な気がします。

ちなみに表示倍率を200%にすると、Unity、Unreal Engineともにニアレストネイバーでくっきり拡大表示されるようです。4KディスプレイをフルHD相当で違和感なく使うことができます(が、フルHDディスプレイと表示が同じなのであまりメリットが……)。

ゲームエンジンが高DPIに対応すると状況が変わってくると思います。

このサイトの中の人は何使ってるの?

自宅では、Core i7-6700K、GeForce GTX 970のMini-ITXの自作PCを開発に使用しています。

モバイルでは、GeForce GTX 980M搭載ゲーミングノートのGALLERIA QSF980HGSをお借りして展示等に使用しています。VR Readyスペックには若干足りませんが、HTC Vive、Oculus Riftともに動作し、開発も十分に可能です。

Oculus Rift DK1/DK2の頃は、GeForce GT 750M搭載のMacBook Pro Retina (Late 2013)にBoot CampでWindows 7をインストールして展示などに使用していました。ごく軽量なソフトならスムーズに動いたのですが、性能的にかなり厳しく、結局使わなくなってしまいました。その後、ミドルレンジのGeForce GTX 750 Ti搭載の自作PCをキャリーバッグで持ち出すようになったのですが、やはり性能不足で、新しく組み立てたのが現在のPCになります。VR ReadyクラスのGPU性能はやはり必要だという実感です。

その他、お仕事でGTX 1080、GTX 980 Ti、TITAN X搭載のデスクトップのGALLERIALITTLEGEARなどを使用しています。

ちなみにキーボードはRealForceの静音モデルを使っています。マウスはLogicool G303です。シンプルで軽くて精度が良く、ゲームエンジンや3Dソフトで多用する中ボタンがきちんと使えるのがお気に入りです。

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書いた人:こりん(@k0rin
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